歯周病の原因
歯周病の原因を知ることが治療の第一歩です
「歯周病は治りにくい」というイメージを持たれていることがありますが、実は原因がある程度はっきりしている病気ですので、その原因を知り、取り除いていけば歯周病にかからない、もしくはよい状態でコントロールすることは可能です。
歯周病が治りにくい背景には、
- ・歯周病の正しい原因を患者さんが理解しておらず適切なケアができていない
- ・治療によって原因が十分に取り除けていない
ということもあると考えられます。
歯周病の改善に向けて、まずは原因を知ることから始めましょう。
歯周病の改善に向けて、まずは原因を知ることから始めましょう。
歯周病の直接の原因
歯周病は細菌感染症
歯周病は歯周病菌を原因とした細菌感染症です。歯周病菌には数種類が存在し、生まれてから生きていく中で身近な人からもらっていくと言われています。
歯周病菌の種類によっては悪性度の強いものがあり、それによって重篤な歯周病にかかることもあります。
歯周病菌の種類によっては悪性度の強いものがあり、それによって重篤な歯周病にかかることもあります。
歯周病菌が増えると悪さをする
歯周病菌をもらったとしても、細菌の数が少なければ、とくにお口の中に悪い影響をもたらすことはできません。つまり、増殖さえしなければ歯周病を引き起こすことはありません。歯磨きをしばらくしないでいると、歯の表面に黄白色のプラーク(歯垢)が溜まってきますが、これこそがお口の細菌の集合体で、この状態になると非常に多くの歯周病菌もそこにいるということになります。これをそのまま放置していると、歯茎に炎症を起こし始め、歯周病が進行していく方向へと向かっていきます。
歯周病の「危険因子」
歯周病のリスクは、危険因子があることでより高まります。
この危険因子をより多く持っているほど、それだけ歯周病のリスクを高め、どんどん歯周病を悪化させていくことにもつながっていきます。
この危険因子をより多く持っているほど、それだけ歯周病のリスクを高め、どんどん歯周病を悪化させていくことにもつながっていきます。
歯周病の危険因子としては、お口の中の環境による「局所的な危険因子」、そして、生活習慣や健康状態による「全身的な危険因子」があります。
局所的な危険因子
● 歯石
かつては歯石が歯周病を引き起こす直接の原因だと考えられていました。しかし、近年ではそうではなく、歯石のザラザラした表面に細菌が繁殖し、それによって歯周病を悪化させると考えられています。歯石の凹凸面に入り込んだ細菌は歯ブラシで磨いても落とすことが不可能ですので、歯石を放置していると歯周病のリスクが非常に高くなります。
● 歯並び、噛み合わせの悪さ
重なり合った歯並びの場合、どうしても歯ブラシが当たりづらい部分が出てプラークが溜まり、歯周病を悪化させてしまいます。
また、噛み合わせが悪い場合、特定の歯に異常な力がかかり、その歯を支えている骨の歯周病が急速に進行することがあります。出っ歯など、噛み合わせによっては唇が閉じられず、口の中が乾燥状態となり、唾液による自浄作用がうまく働かなくなって歯周病菌が繁殖しやすくなります。
また、噛み合わせが悪い場合、特定の歯に異常な力がかかり、その歯を支えている骨の歯周病が急速に進行することがあります。出っ歯など、噛み合わせによっては唇が閉じられず、口の中が乾燥状態となり、唾液による自浄作用がうまく働かなくなって歯周病菌が繁殖しやすくなります。
● 歯ぎしり、食いしばり
歯ぎしりや食いしばりは歯に異常な力をかけてしまいます。このような力は、歯周病による骨の破壊を急速に進めてしまいます。
● 不適合な被せ物
被せ物の縁が歯にぴったり合っておらず、隙間や段差があると、その部分にプラークが溜まる原因となり、歯周病を悪化させます。
全身的な危険因子
● プラークが溜まりやすい食生活
糖分摂取が多い、間食が多い、やわらかい加工食品ばかり食べている、というような食生活は歯にプラークを付着させやすくし、歯周病リスクを高めます。
● タバコ
タバコを1日に10本吸う人は、歯周病のリスクが5.4倍高くなることがわかっています。ちなみにヘビースモーカーほど、そのリスクは高くなります。
● 糖尿病などの全身疾患
糖尿病にかかっていると体の免疫力が落ちてしまうため、歯周病にもかかりやすくなります。また、骨粗しょう症では、骨の密度が落ちて骨が弱くなるため、歯周病による骨の破壊が起こりやすくなります。
● ストレス
ストレス状態では自律神経の働きにより、唾液の分泌が抑制されてお口の自浄作用が落ちるとともに、免疫も低下するため、歯周病のリスクが高くなります。
● 口呼吸
口で呼吸をしている人は、口内の唾液が乾いてしまい自浄作用が落ちるため、歯周病が悪化しやすい傾向があります。
● 疲れ、睡眠不足
疲労や睡眠不足の状態にあると、免疫力が低下してしまうため、歯周病に対する抵抗性も落ちてしまいます。
● 女性ホルモン
女性は生理や妊娠に伴い女性ホルモンが多く分泌されるようになります。その期間はその女性ホルモンを好む歯周病菌が繁殖しやすくなり、歯周病トラブルが起こりやすくなります。
● 薬の副作用
薬の副作用で唾液の分泌を抑制するものはお口の自浄作用を落とし、歯周病のリスクを高めます。また、抗てんかん薬や、降圧剤(血圧を下げる薬)によっては、副作用として歯茎の腫れを起こすものがあり、歯周病を悪化させやすくなります。
歯周病を改善していくためには、このように、お口の中の治療だけでなく、同時進行で生活面や健康面においても改善が必要になります。
一つ一つ危険因子を取り除いていくだけでも、歯周病のかかりやすさや悪化の仕方が変わってくるので、ぜひできるものから取り組んでみてください。
一つ一つ危険因子を取り除いていくだけでも、歯周病のかかりやすさや悪化の仕方が変わってくるので、ぜひできるものから取り組んでみてください。