子どもが歯をぶつけたらどうする?対処法と知っておきたい注意事項
子どもはよく転んだり、突発的な動きをしたりするので、歯をぶつけることは珍しいことではありません。
子どもが歯をぶつけた場合、ぶつけ方や程度によって対処法が異なります。
この対処法を知らずに行動してしまうと、のちに永久歯の状態に問題が出ることもありますので、お子さんをお持ちの方は歯をぶつけた際の知識をある程度知っておくことが大事です。
今回は、子どもが歯をぶつけてしまった場合の対処法や実際に行われる治療法、そして歯をぶつけてしまった場合に知っておきたい注意点についても解説していきます。
歯をぶつけた際に見られる様々な状態

子どもが歯をぶつけた場合、主に、
・ぶつけた歯がグラグラする
・歯が抜ける
・歯が歯茎の中に陥没する
・歯が折れる
・見た目には変化がない
のいずれかの状態となります。
また、乳歯に起こるか、永久歯に起こるか、でも違いが出てきます。
歯科では、その歯がどのくらいのダメージを受けて、歯や周囲組織にどのような影響が出ているか、というのをくわしく検査した上で適切な治療を行っていきます。
子どもが歯をぶつけた際の対処法と治療法
◆歯が抜けた場合
5~6歳くらいになっていて永久歯への生え変わりが近くなっている乳歯の場合、ぶつけて抜けても、特に問題とならないケースがほとんどです。
ですが、これが永久歯となると、大変な問題となります。
もしも永久歯が、歯をぶつけた衝撃で抜けてしまった場合、まずはすみやかに歯を流水でよく洗うことが大事です。その歯をその後、すみやかに歯科医院で戻せば、再度定着させることが可能だからです。
この際の注意点として、歯を洗う時には歯根の部分を持たない、ということがあります。
歯根の周りには歯根膜と呼ばれる重要な靭帯があり、歯が再度根付くためにはこの組織がダメージを受けていないことが重要であるからです。
また、歯医者に持っていくまでの間は、歯根の部分が乾かないよう、牛乳もしくは生理食塩水に浸すか、唇と歯茎の間に入れておくようにしましょう。
ちなみに、一度抜けてしまった歯は、神経が断ち切られた状態となりますので、歯が骨に固定されたら神経を取り除く治療が必要になります。
◆歯がグラついている場合
ぶつけた衝撃で歯がグラついている場合に関しても、それが乳歯なのか永久歯なのかによって対処法は大きく異なります。
乳歯の場合、もうすぐ生え替わりそうな状況であれば、そのまま自然に脱落するまで様子を見る、もしくは邪魔になるようであれば抜くこともあります。
まだ生え変わりまでにしばらくかかりそうであれば、周囲の歯が移動するのを防ぐために歯を抜くのは避け、隣の歯と透明な接着剤で固定することもあります。
永久歯の場合、ぐらつきの程度によっては両隣の歯と一定期間固定をし、安定したら固定を取り除きます。ぶつけたダメージによっては中の神経が壊死してしまっている場合もあるため、そのような兆候が現れたら、その時点で神経を取る治療を行います。
◆歯が歯茎の中に陥没した場合
歯が歯茎の内部に陥没した場合、それが乳歯ならば状況を見て抜くか、隣の歯と固定します。永久歯の場合には一旦両隣の歯と固定し、その後の経過を見て固定を外します。この場合も、神経の状態が大丈夫かを、レントゲン検査をしながら経過観察していき、異常が見られれば神経の治療を行います。
◆歯が途中で折れた場合
歯が折れてしまった場合、破折片が残っていれば、それを元通りの位置に戻して接着剤でくっつけることも可能です。破折片がない場合にはプラスチックの材料を詰めて形を回復します。
もし、大きく割れていて神経が出ている場合には神経を取る治療が必要になります。
◆見た目に変化がない場合
ぶつけたとしても歯に特に異常が見られずグラグラもしていない場合、とくに治療の必要はありませんが、打撲の程度が大きく、歯の神経が壊死する方向に向かう場合には、その兆候が見られた段階で神経の治療を行います。
神経が死んでしまう場合、歯の色が黒ずんでくる、歯の根っこの先端部分の歯茎に膿を持つ、といったことが現れてくるため、注意深く観察をしていくことが大事です。
お子さんが歯を強くぶつけてしまった場合には、見た目上異常が見られなくても、内部にダメージを受けている場合もありますので、一度歯科を受診するようにしましょう。
通常は、ぶつけてからしばらくは定期的に経過観察が必要になりますので、それも怠らないようにしていきましょう。