コロナ禍で顎関節症が急増!?
コロナ禍以降、顎関節の雑音や痛み、お口の開きづらさ、といった顎関節症の症状を訴える患者さんが急増しています。その背景には、コロナ禍における、ある二つの要因が大きく関係していると考えられます。
顎関節症とは
顎関節症とは、
- ・顎の痛み
- ・口の開けづらさ
- ・口の開け閉め時の雑音
といった症状を起こす状態で、このうちの一つでも症状があれば顎関節症と診断されます。
日本人では二人に一人が一生の中でかかると言われている顎関節症ですが、3年前に比べて患者さんの数が2割増と、急増していることが報告されています。
顎関節症は命に関わる病気ではありませんが、症状がひどくなってしまった場合、放置すると、生活に支障が出てしまったり、状況によっては骨を削るなどの治療が必要になったりすることもあります。
顎関節症は命に関わる病気ではありませんが、症状がひどくなってしまった場合、放置すると、生活に支障が出てしまったり、状況によっては骨を削るなどの治療が必要になったりすることもあります。
コロナ禍で顎関節症が増えている2つの要因
1.長時間のスマホ使用
コロナ禍に入って家に篭りがちになり、「暇さえあればスマートフォンを見ている」という人も多いのではないでしょうか。長時間のスマホ使用によって起こる「スマホ顎関節症」は、3年前が1割程度だったのに対し、現在は5割にまで増えているそうです。
◆スマホ猫背が顎関節症の原因に
なぜ長時間のスマホ使用によって顎関節症が起こるのか?その理由として「スマホ猫背」という姿勢が挙げられます。スマホを見る際に頭が前傾姿勢の猫背状態になることにより、下顎が前に出てしまいます。そうすると、普段安静な状態では触れ合うことのない上下の歯が触れ合ってしまい、その状態が長く続くと顎に余計な負担がかかってしまいます。
顎の関節は、強い力が短時間にかかるよりも、弱い力が長時間かかる方がダメージが大きく、その差は20倍にもなると言われています
◆顎関節症のセルフチェック
お口が開きづらい、顎が痛い、顎から音がする、という顎関節症の症状がすでにある方は、悪化する前に一度歯科を受診してみましょう。
もし「自分が顎関節症かどうかわからない」、という場合、顎関節症かどうかを調べる一つの簡単な方法として、お口を開けた際に指3本を縦に揃えた大きさが入るかどうか、というものがあります。もしも、指3本分口が開かない場合、もしくは痛みが出るという場合には、顎関節症の疑いがありますので、歯科を受診されることをおすすめします。
2.長期に及ぶマスク生活
◆マスクの圧迫感が顎関節症の原因に
マスクを長時間装着すると、マスクによる筋肉や関節への直接的な圧迫感があるのに加え、無意識的な噛みしめが起こりやすくなります。現在コロナ禍が約2年半にも及んでいる状況で、マスクによる負担が蓄積し、耐えきれなくなって顎関節症が起こりやすくなっているのではないかと言われています。
◆こんなマスクの付け方は顎関節症のリスクを高める!
マスクの付け方によっても顎関節症になりやすさに違いが出てきます。次のようなマスクの付け方は顎関節症のリスクを高めますので、注意しましょう。
・マスクが小さすぎる
マスクが小さすぎると、より圧迫感が増してしまいますので、顎関節症のリスクも高まります。
・マスクの中心がずれている
マスクの左右のバランスが悪く、偏っていると、ゴム紐の部分の負担に左右差が出てしまい、顎の関節や筋肉のバランスが悪くなります。
・手を使わずに顎でマスクをずらす
マスクが下がった際などに、手を使わず顎でマスクをずらす行為は、顎にとって不自然な動きであるため、顎へ負担をかけてしまいます。
自分でできる顎関節症対策
そもそもストレスが主な原因と言われている顎関節症。ストレス社会の中、コロナ禍の影響でさらに顎関節症のリスクは高くなってしまっている状況ではありますが、そんな状況でも自分ですぐにできて、かつ効果的な顎関節症予防のストレッチ方法をご紹介します。
顎関節予防に効く!簡単3ステップストレッチ
- 1.背筋を伸ばし、肩を後ろに引き、肩甲骨を寄せる
- 2.上を向いて首を伸ばす
- 3.姿勢を戻し、指3本を縦にし、口に入れる
以上を何回か繰り返すことで、こわばった関節、筋肉がほぐされ、顎関節症予防効果が期待できます。ぜひ皆さんもやってみてください。もし、このような対策をしてもなかなか顎の状態がよくならない、という方は一度歯科医院での診察を受けることをおすすめします。