歯周病でアルツハイマー型認知症が起こりやすくなるってほんと?
それは、歯周病の原因となる細菌や、その細菌が作り出す毒素が、歯を支える組織だけでなく、血管や呼吸器、消化器などを通して全身にまわることであちこちの臓器に対して害を及ぶすためです。
アルツハイマー型認知症もまた、歯周病との関連が指摘されている病気の一つです。今回は、歯周病とアルツハイマー型認知症との関係についてご紹介します。
アルツハイマー型認知症とは?
アルツハイマー型認知症は、認知症の半分以上を占めるタイプのもので、だんだんと記憶が失われていくとともに判断力も衰え、最終的には日常生活を一人で行うことができなくなり、寝たきりとなって死にいたるという経過をたどることの多い病気です。
歯周病とアルツハイマー型認知症との関連
歯周病がアルツハイマー型認知症の関係についてですが、歯周病がアルツハイマー型認知症を引き起こす原因となるものとして、歯周病菌の作り出す炎症性物質が関係していると言われています。
この炎症性物質は、血液に乗って脳に達し、アミロイドβと呼ばれるタンパクを作り出し、これが脳内に蓄積することでアルツハイマー型認知症を起こすと考えられています。
◆早い年齢からの予防が大事
アミロイドβが脳に蓄積し始めてからアルツハイマー型認知症を発症するまで、25年くらいかかるとされています。多くの人は70代以降に認知症を発症しますので、それを考慮すると、40代くらいにはすでに歯周病の対策をしておく必要があります。
歯周病は、多くの場合、30代くらいから始まることが多く、だんだんと進行していく病気なので、その点を考えると、より若い時からのケアが大事になってくると言えるでしょう。
歯周病による歯の喪失も認知症を招きやすい
現在、日本では歯周病が歯を失う第一位の原因となっています。歯周病で歯を失う場合、一気に多くの歯がやられてしまいやすいため、途端に噛む能力が落ちてしまうことになります。
実は脳を活性化するためには噛む刺激も大事だと言われています。噛む能力が衰えると、それだけ咀嚼による脳への刺激がなくなってしまいますので、歯周病で歯が失われることはより認知症のリスクを高めると言えるでしょう。
そういった意味でも、歯周病を予防することはとても大事なことだと考えられます。ですが、もし歯周病によってすでに歯を失って咀嚼力が落ちている場合でも暗い気持ちになる必要はありません。
義歯やインプラントなどできちんと歯を補う治療をして、しっかりと噛める状態にして脳に刺激を与えることができれば、認知症のリスクを高めることはありません。
一番大事なのは、悪い部分を放置しない、ということです。歯のメンテナンスをしっかりと行なって歯周病菌から体を守り、噛めない部分は歯を補ってしっかりと噛める状態をキープしていきましょう。